月も、霞む湯けむり。
ONSEN RYOKAN — KIRIMISAWA, SHINSHU
このページは、一泊二日の物語。
スクロールのぶんだけ、夜が更けて、朝が来る。
十六時、到着。
arrival at dusk — welcome to Tsukigasumi
4:30 p.m. — 湯浴み
ゆ — the waters
硫黄のにおい、肌にまとわりつく白い湯の花。三百年、絶えたことのない源泉が、旅の疲れを底からほどいていく。
檜の内湯、障子越しの光。
hinoki bath, light through shoji
雪の岩肌に囲まれた露天風呂。夜は行灯だけを残し、湯けむり越しの月をひとりじめ。
湯上がりに眺める、灯籠と雪の庭。火照った頬に、山の冷気が心地よい。
6:00 p.m. — 夕餉
ぜん — the dinner
部屋出しの懐石は、その日の山と川で決まる。岩魚、山菜、猪、蕎麦。器は先代が集めた古伊万里。
山の懐石、部屋出しにて。
kaiseki of the mountains, served in your room
9:00 p.m. — 夜半
よわ — the night deepens
テレビはない。聞こえるのは、雪の落ちる音と、湯の流れる音だけ。窓辺で燗をひとつ、今夜は長い。
雪見酒、窓辺にて。
warm sake, watching the snow
布団はすでに敷かれている。行灯の灯りをひとつ落とせば、あとは眠るだけ。
湯けむりに
月も霞むや
雪の宿
7:00 a.m. — 朝霧
あさ — the morning mist
障子を開けると、谷いちめんの霧の海。夜のあいだに世界は白く塗り替えられている。朝湯は六時から。
霧の海が、ひらけていく。
the sea of mist, from your window
釜炊きの米、川魚の一夜干し、自家製の味噌汁。朝の光の中で、ゆっくりと。
チェックアウトは十一時。
けれど霧が晴れるまでは、
誰も帰りたがらない。
INFORMATION — ご案内
源泉露天風呂付きの離れ。雪の坪庭を独り占めする、全四棟の特別室。
本館二階の和室十畳。窓の下は霧見川、湯屋へは渡り廊下で。